整備業界への問題意識
安かろう悪かろうの車検に渇!
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吉田自工は、地域を代表する整備工場として、病院での救急医療に当たるJAF救援車両の受け入れを行っておりますが、残念ながら車検をしたばかりのクルマが運ばれてくることも多くあります。そこから見えてくるのは、商売優先の車検整備や「安かろう悪かろう」という姿です。
平成19年から平成27年までの統計結果では下記のようなことが見えてきます。
- ●故障でJAFを呼び弊社に救援された車のうち54%が車検から1年経過していませんでした。
- ●残念ながら「車検を通すだけ」の整備になっており、安く済ませたつもりが逆に過大な修理費がかかってしまう結果となっています。
「意識」と「能力」の低い業者にはご用心!
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お客様の整備記録およびヒアリング結果によると、前回の車検場所で多いのは、ユーザー車検(26%)、カーショップ(23%)、ガソリンスタンド(22%)となっており、実際に故障車を点検すると、ユーザー車検(代行)でほとんど整備していないケースが多く、中にはお客様がユーザー車検と気が付いていないケースもありました。また、運輸支局の検査場(習志野、千葉、足立等)に車を持ち込む車検では、分解整備の痕跡が発見できないケースも見受けられました。しっかり点検整備をしていれば兆候が確認でき、事前に対処可能なトラブルであるスターターモーター、ブレーキ引きずり、オーバーヒートや点火系のトラブルを見落としているケースも散見され、手抜きもしくは意識と能力の低さから、点検整備を省き、習志野等の運輸支局での検査のみで納車していると推測される車もあります。
しかし、元々は我々整備業界として、車検の意義や意味を説明せず、「車検さえ通っていればOK」という認識をユーザーに浸透させてしまった責任があると考えます。こうなった以上、必要な点検整備と故障修理の原因と必要な処置を、丁寧そして地道に説明する他はありません。
(調査期間)
平成19年4月~平成27年3月
(調査対象)
吉田自工へJAFからの救援入庫車両
(調査総数)
384件
お客様にお役に立てる整備工場とは?
このような業界の現状を鑑み、お客さまのお役に立てる整備工場とはどんな工場か、この問いに真摯に向き合い、故障と事故というお客様が最も困る時に味方になり、嘘偽りのない対処方針について論理性を持って説明できる、そんな工場でありたい、と弊社は以下の強みを磨いてきました。
「弊社は技術に自信があります」どの整備工場も必ず言います。しかし、技術とはなんでしょう?車検整備が早くできることでしょうか、最新の設備を保有していることでしょうか?
吉田自工では整備技術の根幹を「故障と事故修理」にあると捉えています。車検整備においても、故障の兆候を発見する必要があり、故障と事故修理には整備技術の全てが含まれています。整備技術の全てとは下記の4点だと考えています。
(1)情報収集
- 車種、構造、故障整備履歴、破損状況、お客様の体感、目視状態、診断機のログ等
(2)診断・分析
(3)対処
- 故障部位に対して、部品交換、調整、修復などの処置を施す
(4)観察
この(1)~(4)を早く、正確に行うことを「技術力が高い」と定義しています。吉田自工ではこの整備技術を高めるために、エンジン交換などの重整備を含む年間3,000件を超える多くの故障事例引き受け、またそれらのカルテを整理するだけでなく、車種ごとの構造の理解を進めることで、技術力の向上につなげています。さらに、電気基礎技術とシャシーへの理解を進めるために、EV(電気自動車)を制作し、レースへ向けて頑張っています。
技術力に自信のある弊社は、故障修理や事故修理時に作業工程や交換部品を説明、公開することとしています。特に下地処理の巧拙によって仕上がりに鈑金塗装、高額になりがちな重整備(エンジンやヘッドオーバーホールなど)については、作業工程を写真にて公開しております。この事によって、「なぜ高いか」「なぜ安いか」の理解を促進し、お客様から高い満足を得ており、修理や事故で入庫されたお客様の93.7%(平成26年度)が弊社に車検で入庫しています。
弊社は習志野、千葉や足立などの国の検査場と同基準の設備を整え、国土交通省による「指定工場」の認定を受けている工場です。従いまして、車検作業に際しましては、弊社市川塩浜の工場内だけですべての作業を終了することができます。指定工場であるために、国の厳格な基準に合致しているかという審査に合格しただけでなく、その品質を維持しているか定期的な監査を受けております。例えば、設備面では検査ラインが正常な数値を示すかどうかの校正を受け、人員面では最低3名の整備士と最低1名の検査員を確保し続けております。特に検査員はみなし公務員とされる重責な資格で、年々取得のハードルが高くなっている中、弊社には3名も在籍しており、毎日検査ができる体制を整えています。さらに、運用面では書類や検査記録にもトレーサビリティが求められますので、高度な事務処理能力も要求されます。
このように、国土交通省指定工場であるということは、検査体制や事務処理に一定の品質が確保されている証左であります。
輸入車修理はディーラーや専門店でないと無理と思っている方も多いのではないでしょうか。しかしながら、吉田自工には故障修理及び車検で1,047台(平成26年度)の輸入車が入庫しており、入庫約4台に1台が輸入車となっています。これはディーラーや専門店に比肩する数字です。また、吉田自工は千葉県自動車整備振興会認定のコンピューターシステム診断店舗であり、輸入車に用いるBOSCH製の診断機を備えるだけでなく、FAINESといったメーカーのマニュアルまで参照できる情報ツールがあるため、ほぼ100%の作業を自社にて完遂することができます。また、鈑金塗装においては、デュポン製の高級塗料を使用し、埃の入らないブースにて仕上げているため、仕上がりの面でもディーラー品質で提供しています。
旧車では、昨今の電子制御車両では考えられないようなトラブルが起こります。また、故障やトラブルも「わかりにくい」のが特徴で、「なんとか走ることができる」レベルのトラブルも多くあります。例えば、エンジンがかかりにくかったり、まっすぐ走れなかったり、オイルが漏れていたり、現在のクルマでは起こりえないようなトラブルが日常茶飯事ですが、いずれも致命的ではありません。
しかしながら、このようなトラブルにすべて対応していたら、オーナー様のお金が無くなってしまいます。厳格な修復もいいのですが、クルマが大好きで、末永く維持していきたいというお客様のために、維持することを目的に完全に直さない修理や、お客様のご予算に応じた車検整備を提供しております。でないと、旧車のアナログな楽しみを享受できないと思うからです。心配な部品も北米を中心に仕入れ先を確保し、適切な価格で提供させていただいております。また、旧車だからといって、法外な料金でなく車検整備でも通常の料金でご利用いただいております。
昨年、登録13年以上経過車両は567台、うち20年以上経過車両は81台の入庫実績があります。